ホーム フード&ドリンク ライブスケジュール CD Review メディア 店主プロフィール リンク

CD REVIEW>2004年私のお気に入りアルバム   >>back


2003年に続き2004年も欧州ピアノ・トリオの洪水。いい加減にしてほしです。買いません、聞きませんそんなもの。2〜3回聞いたら隅の方に片付けたくなる、アメリカ白人の小難しいのも、もういいか。フリーを経由してない奴の4ビートも空虚で寒々しい。なんで60年代70年代のジャズは驚きと新鮮さと深さに満ちているのだろう。新しいジャズは日本人しか聞かないことにしょうかな。そうもいかないか・・・。

 

■ 新譜

菊地雅章 the slash trio/slash4

奇才、吉田達也をドラムに据えたスラッシュ・トリオも今作で4作を数える。ピアノ・トリオには珍しいハードなそのサウンドは初期こそ新鮮、斬新に響いたものの最近は少々食傷気味だった。
このアルバムとてそれ程期待して聞いたわけではない。
菊地の新譜を無視するわけにはいかない、そんな義務感から聞いた。
だが、最後に菊地のソロで奏でられる「庭の千草」を聞いてぶっ飛んだ。
胸がかきむしられた。
思わず熱いものがこみ上げてきた。矢張り菊地は現代最高のピアニストだと改めて納得した。



Brandon ross /costume

40も後半の歳にして待望のファースト・リーダー作完成。ヘンリー・スレッジルやオリバー・レイクのバンドでの永年の活動。最近ではカサンドラ・ウイルソンのサポートで少しは知られるようになったギタリスト。静寂と混沌。東洋と西洋。聞くほどに味わいが増す。



■ 復刻

 


Don Rendell & Ian Carr / Shades of Blue/Dusk Fire

昨年一挙に6作品、4cdが初cd化されたイギリスのバンド。
1960年後期マイルスのサウンドに呼応する英国からの回答か。この当時日本でも日野皓正が脚光を浴びていて、世界同時進行していた音、と言うかマイルスの偉大な影響力なのか。
それにしても、耳をそばだてさせるグループサウンドである。

Eric Kloss /first class!

プレステッジに残されたクロスの10作品の内これで8作品が発売された。残るは2作品=1cdである。
60年代はブルーノートではなくプレステッジである。そしてプレステッジは、マイルスやコルトレーンではなくクロスやパット・マルティーノ、ジャッキー・バイヤードである。黒人と白人が分け隔てなく面白かった。人種を超越していた、ジャズだけが。
そのことを声高に言わないジャズ雑誌やレコード・メーカーはアホだし欺瞞に満ちている。


中村八大 /hachidai nakamura

1958年の録音。
まだ、「夢で会いましょう」は放映されていなかっただろうし、「スキヤキ〜上を向いて歩こう」も作曲していなかった。
ビッグ4のピアニストの時代かな?ジャズの世界からはるかに逸脱していてラウンジ・ミュージックの世界。
しかし、現在のジャズと名のるムード・ピアノ・ミュージックより圧倒的に気持ちいいしカッコイイ。早く買わないとすぐに廃盤だよ。


ヴァーヴの60周年とやらで数多くの作品が紙ジャケで発売されたが、多くは毎度お馴染みの作品ばかり。世界初CD化のこの作品が唯一の収穫。ベテラン二人の熱演を支えるケニー・バレルのギターが素晴らしい。彼が参加すると、作品に黒い品格が加味される。



Kenny burrell /asphalt canyon suite
Kenny burrell /night song

昨年のジャズ界のニュースに55レコードの旗揚げがある。ユニバーサルのジャズ・プロデューサーとして10余年、手腕を振るった五野氏が立ち上げた独立レーベルだ。既にジェシ・ヴァン・ルーラーの新作等秀作を発売しているが、永年の人脈を生かしてヴァーヴの発売権を手に入れた。氏があえてユニバーサル在職時に発売しなかったのは、独立した時に自らが発売するためだったのかと勘ぐりたくなる2枚。
決して歴史に残る作品ではない。肩のこらないリラックスの塊である。バレル・フリークの私だから楽しめる作品かも知れない。バレルの作品にジャズのカッコよさを感じる。大都会の喧騒、熱気、バトル・・・やがて訪れる片時の憩い。ジャズの大きな魅力の一つだ。彼の音楽はそれが香しく漲っている。

新作ではない。まだ彼らがピアノ・トリオだった91年のデビュー作のリー・マスターだ。当時発売されたものと比べるとハードな音質となっている。山下洋輔トリオを彷彿させる強靭なバネと熱気。ジャズは汗だ、格闘技だ、涙だ。そしてクール。こんなジャズを聞くからバレルの温もりも好きになるのだ。

 


■ ジャズではありませんが・・・



カエターノ・ヴェローゾ/ 異国の香り

昨年は、遅ればせながらカエターノ発見の年だった。スペイン映画「トーク・トゥ・ハー」を
DVDで初めて観たのがはじまりだ。劇中にライヴ・ハウスでカエターノがラテンの名曲「ククルクク・パロマ」を歌う場面がある。この世のものとは思えない美しくて哀しくて粋な歌声に私はすっかり心を奪われた。そして、それを追憶するように発売された全編英詩によるアメリカン・スタンダード集。いやはや参りました。本物のオトナの味がします。

 

Leonard Cohen /dear heather

当店が開店した年に発売された前作ten new songs から丁度3年、彼にしては早いインターバルでの新作発売。
まだ聞き込み不足なので何ともいえないが快作は間違いない。
彼のアルバムは聞き込むほどに良くなる、まさに一生もの。
昨今の軟弱なジャズヴォーカルとやらを聞く前に聞くべし。

 

Home | MENU | LIVE | CD | MEDIA | ABOUT | LINK

Copyright NO TRUNKS 2001 All right reserved