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2011 私のお気に入り or Best 3 By ikeda

■ 新録CD

新録CDタイトル 1
QUE ZONA -キズナ- / pikaia pandeiro special
レーベル
 
肉声のように温かみのあるトランペットを吹く渡辺隆雄と、ブラジルのトライバルなリズムが体に染み付いているパーカッショニスト、小澤敏也を中心としたアフロ・ブラジル・ユニットの新作は、「音楽の力」を改めて教えてくれた。「人間のリズム」が折り重なることで生まれる重層的なグルーヴは、昨今の機械仕掛けの音とは違い、予想不能でマニュアルに収まらない。こういうワクワクするような衝動こそが、音楽本来の効能ではないだろうか。激しいビートとスケールの大きなメロディの交錯が、心を豊かにしてくれる逸品。


新録CDタイトル 2
All We Are Saying…/Bill Frisell
レーベル
 
ジョン・レノンのカヴァー集というコンセプト自体は、ジャズ界に限らずポップスやロックやクラシックの世界でも、ありがちかもしれない。しかし、ジャケットからしてジョンの描いた絵を(もちろん許諾を得て)使っており、気合いが半端じゃない。ジョンが作ったメロディ本来の素晴らしさに敬意を表しつつも、水墨画のようにきめ細かいギターが折り重なり、更にオルタナ・カントリー的なバンド・サウンドも絡んで、「毒にも薬にもならない」どころか「めちゃくちゃ薬になる」、不思議で幽玄で優しい世界がたまらない。


新録CDタイトル 3
Bad As Me/Tom Waits
レーベル
 
長年「カルト・アーティスト」であり続けたトム・ウェイツが、この新作で初めて全米トップ10入りした。しかも、売れ線に走っていないどころか、数あるトムのアルバムの中でも一番ダーティーで実験的な作品だ。キース・リチャーズやフリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)といった有名人から、トムのファンにもお馴染みのマーク・リボーまで、嬉々としてトムの悪だくみに乗っている。これ以上ないほどのダミ声と、ゴミ箱をひっくり返したようにグシャグシャした演奏から、宝石のように美しい世界が生まれる様は本当にスリリング。

池田洋行

 

 

 

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