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2015 私のお気に入り or Best 3 By Ikeda


CDタイトル 1
New Heritage Of Real Heavy Metal/NHORHM(西山瞳)
まさかの「ジャズ・ピアニストによるヘヴィ・メタル作品集」が登場。しかも、安直な企画盤ではなく、ジャズよりも前からメタルを愛していた西山瞳のユニットによる作品なだけに、音楽理論的には殆ど接点が見当たらないはずのジャズとメタルが、巧みなバランス感覚で融合されている。1970年代のハード・ロックがジャズ・アレンジされることは比較的よくある話だが、アイアン・メイデン、パンテラ、メガデス、ミスター・ビッグ、あげくの果てにBABYMETALの曲が、元ネタの美点を残しつつ「普通にピアノ・ジャズとして聴いても良質な作品」に転生したという例は、世界でも初の快挙と言っていいだろう。

CDタイトル 2
Nueva Era/Dayme Arocena
これまでにジャイルス・ピーターソンが見出してきた新人の中では、歌唱力/個性のいずれもダントツの女性ヴォーカリスト、ダイメ・アロセナのデビュー作。キューバ人ということで、当然の如くアフロ・キューバン色も盛り込まれているが、エラ・フィッツジェラルドを思わせる伝統的なジャズ・ヴォーカリーズや、山下達郎ばりの一人多重録音コーラスまでやってのける、古くて新しい才能の持ち主だ。なお、日本盤にはスタンダード・ナンバー「クライ・ミー・ア・リヴァー」の突然変異トライバル・ヴァージョンがボーナス・トラックとして収録されているので、買うなら日本盤がおすすめ。

CDタイトル3
Crosseyed Heart/Keith Richards
ご存じキース・リチャーズの久々のソロ・アルバムは、彼が長年にわたり吸収してきたルーツ・ミュージックへの感謝と敬意に満ちた内容で、いかにもな「ローリング・ストーンズ風ロックン・ロール」は少ないが、ストーンズというバンドの音楽的バックグラウンドの豊かさを改めて思い知らされた。ロバート・ジョンソン風ブルースに始まり、オーティス・レディング風ディープ・ソウルに終わる全15曲の中に、カントリーもレゲエもゴスペルもファンクもブチ込まれ(特にカントリー系のバラード2曲は泣ける)、それでいて雑多な印象はなく、「一人の音楽バカとしてのキース・リチャーズ」が投影された力作だ。

 

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