2005 私のお気に入り or Best 3 By GOTO
■ 新録CD

新録CDタイトル 1
Duo Vol. II - Live At Dolphy -

アーティスト名

 

林栄一&板橋文夫

 

メンバー:林栄一(as) 板橋文夫(p)
レーベル:ミックス・ダイナマイト・レコード
コメント:戦後の守安祥太郎から始まった日本の本物のジャズ、アンダーグラウンドな場所で先鋭的な芸術として磨かれ発展してきたジャズ、その系譜に正統に位置する最後の世代の代表がこの林栄一であり板橋文夫だ。この作品に漂う一種の崇高さを目の当たりにすると、唐突だがそんなことを主張したくなる。
林の幻の名曲(泣ける)「回想」、板橋の情熱が爆発する「志乃のタンゴ」、中盤のこの2曲がこのアルバムのクライマックス。両者の演奏は研ぎ澄まされ、孤高で、そして驚くほど瑞々しい。


新録CDタイトル 2
Senne Sing Song

アーティスト名

 

Misha Mengelberg

 

メンバー:Misha Mengelberg (p) Greg Cohen(b) Ben Perowsky(ds)
レーベル:
TZADIK
コメント:オランダフリージャズ重鎮の新録。何度聴いても飽きない刺激と不思議な優しさを持ったトラディショナルな響き。
ジャズCD売り場で大きな一角を占める小奇麗なだけの無個性なヨーロピアン・ピアノトリオものの中に、こっそりこのディスクを忍び込ませたい衝動に駆られる。当年70歳・御大ミーシャの毒にあてられるか、その自由さに心を奪われるか、あるいは何も感じないか、あとは聴き手のセンスの問題。


新録CDタイトル 3
Tone Collector

アーティスト名

 

Tone Collector

 

メンバー:Tony Malaby(ts) Eivind Opsvik(b) Jeff Davis(ds)
レーベル:
Jazzway
コメント:現在のニューヨークを代表する俊英サックス奏者トニー・マラビーらによるフリー系トリオのライヴ盤。
アイラーやファラオといった先達の、“叫びのテナー”の伝統を正しく引き継ぐマラビーのフリーク・トーンのブッ太い咆哮に心底惚れる。ホンカー的ルーツが垣間見えるとも言える、強烈な直接的・肉体的カタルシスが彼のテナーの本質。それは自称前衛フリーミュージックのありがちな小難しさとは対極にあるように僕には思える。とりあえずこの人のブロウがあれば他はいらんわと、9月ぐらいには真剣に思っていた。



■ 復刻CD

復刻CDタイトル 1
One Down, One Up - Live at The Half Note

アーティスト名

 

John Coltrane

 

「楽しさはジャズ判定の基準にはならない」という油井正一の言葉を何度か反芻してみる。そして、「楽しくないジャズ」をストイックに極めようとした40年前のジョン・コルトレーンの音楽が、2005年でもこれだけリアルに心に届いてしまうという現実を考えてみる。 「安っぽいジャズもどきが巷にあふれている、だから今こそコルトレーンなんだ」「結局、最後はコルトレーンなんだよ」、コルトレーンが死んで何年も経った後に生まれた自分はそういった言葉に安易に頷くべきではないのかもしれない。しかし、ここでのトレーンとエルヴィンのサシによるガチンコ対決、これを震えながら聴くという行為を経ないで果たしてジャズを語る資格はあるのだろうか?この発掘盤は、そんな大げさなことを何度も僕に考えさせた。


復刻CDタイトル 2
FOBJUDNA LJUD 1977-1979

アーティスト名

 

KRIMINELLA GITARRER

 

スウェーデンのオリジナルパンク世代バンド、クリミネラ・ギターラの全記録。冒頭の数曲で自分の頭の中は真っ白になる。かっこよすぎ。当然ながらテクニックは限りなくゼロに近く、3コードの曲はアレンジもへったくれもない、要するに音楽的にはまったくひどい代物だ。しかし、表現としては圧倒的にリアル。 「どうかっこよく終わらせるか、その終わりかたのリアルさに全てをかけるのがパンクだ」という定義があるとしたら、このバンドの音はまさにそれにあてはまる。何に寄りかかることもなく、見事に体現された初期衝動。だいたい今は、「パンク」と称して内実は高校の学祭の延長みたいな明るいだけの無神経でアホなバンドが多すぎるのだ。


復刻CDタイトル 3
OLD FOLKS

アーティスト名

 

渋谷毅・武田和命カルテット

 

17回忌を迎えたテナーサックス奏者・武田和命の貴重な音源。
おそらくはその日10人前後のお客しかいなかったはずであろう西荻アケタの店で、武田の渾身のテナーが響きわたる。
「ジェントル・ノヴェンバー」というアルバムのライナーノーツによると、武田自身はコルトレーンよりもロリンズなんかの方が実際は好きなんだと生前語っていたこともあったらしい。フリーか4ビートかというスタイルの問題ではなく、いかに自分の歌を歌えるか。結局はそこに行き着くのかもしれない。川端のベースの存在感にも圧倒される。



 

 



 

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