06年のライヴ録音「
Downpour」は、
Wilcoに正式加入した50歳すぎの
Nels Clineと、やはり50歳すぎくらいの
Tim Berneのグループの常連
Tom Raineyに、年齢不明だが45歳は下回ってないと思う
Andrea Parkinsの、80年代後半のニッティングファクトリー周辺のミュージシャンによるトリオの即興を収録しています。数年前に同じメンバーでリリースがあります。
エフェクタを多様したノイジーだが扇情的なフレーズを繰り出すClineに、それとは独立した感情を持ち繊細なノイズを発生させるParkins、妙にプリミティブなロック的リズムを刻む(はい、主にリズムを刻んでます)Rainey。ジャム的で、プレイヤーの語彙に意図的に頼ったもので、なしくずし的に盛り上がり、純粋即興とは異なります。この扇情さに身を晒す快感、でしょうか。知的なものより、肉体的というか聴覚からくる記憶と関連した快楽のようです。
ドラムにあわせ刻々と変化しつづけ、でもカットアップ/編集的じゃなくて、ジャム的な反応を連続して行っている感覚です。同様な展開で37分と18分と、ノイズは抑えより即興を重視したタイトな4分のトラックを収録。
レーベル VICTO
[リファレンス:CD2]
The Nels Cline Singers「Draw Breath」07年 Crypt Gramophone
Devin Hoff(contrabass)/Scott Amendola(ds,perc,electronics/effects)とのレギュラーなトリオの新作。ゲストでWilcoの同僚であるシカゴのGlenn Kotcheが打楽器で1曲参加。ギタリストらしく曲ごとに表情が変わる録音で、かつてのシカゴ/ルイヴィル周辺のような[1]、いかにもSonic Youth大好きですな[3]、15分近くトリオで高速疾走するアドリブパートだけ取り出したようなジャズ[7]。一方で、同年代のBill FrisellかPat Methenyを想起させるような、叙情的な[5][6][8][9]もある。この録音も、ベースはアコースティックというところに注目してます。