2007 私のお気に入り or Best 3 By 村上寛

 

昨年=2007年の私にとっての一大事は石田幹雄との遭遇であり、大西順子の本格復帰だった。二つのうち大西については、本格と言うにはちょっと語弊のある活動ぶりで、9月にブルーノート東京に出演はしたものの、2か月に1度の割でホール公演を行うぐらいのもので、まるでクラシックのアーティストみたいだ。
石田君は10月に国立パワー・ジャズに出演してもらったし、先日1月15日の横浜ドルフィーでのライヴもパワフルかつ繊細でとてもよかった。3月下旬には東京方面に移住してくるそうだし、益々楽しみだ。


■ 新録CD

新録CDタイトル 1
張碓

アーティスト名

石田幹雄トリオ

張碓とは小樽市の外れにある地名であり、2年ほど前に廃駅として壊されてしまつた秘境駅として鉄道マニアには有名な駅の名らしい。札幌から程近い小樽だし、札幌在住の石田が張碓に興味を抱いたのはもっともな話だ。   昨年の春に発売された石田トリオのデビュー作。ピアノの石田が25歳、ベースの瀬尾が27歳、ドラムの竹村はなんと17歳の時の録音。1曲目の「低音限界」2曲目の「高速限界」、共に名は体を表す曲であり演奏。重厚な快速球。フリーでありながら難解さのまるでない清々しいスタイルだ。一転「ハリウスU」や「雪風」の北欧の空のような耽美さに襟を正す。目を見張る作曲能力、完璧な技巧、表現力の新鮮さ。パーフェクト!  断言しよう。石田幹雄は10年に一人の天才だと。

このアルバムの発売は昨年最大の収穫である。これで石田が40代に突入する後15年ほどは、私もジャズファンでいられそうだ。




■ 復刻CD

復刻CDタイトル 1
solo

アーティスト名

Andrew Hill

昨年もマックス・ローチやオスカー・ピーターソンや富樫雅彦など多くの巨人が亡くなったが、私にとって最大の悲報はアンドリュー・ヒルの死であった。
モザイク・レーベルが発売した3枚組みの「ソロ」は1978年8月〜10月のカリフォルニアでの録音を集大成したもので、一部は昔アーティスト・ハウス・レーベルから発売されていた「フロム・カリフォルニア・ウイズ・ラヴ」と重複する。ヒルの場合アンサンブルが複雑に絡み合うバンドでの演奏も良いが、ソロでの色彩豊かな万華鏡のようなスタイルも個性的で味わい深い。これほどの未発表曲が放置されていたとは・・・。モザイクに感謝。

復刻CDタイトル 2

アーティスト名

杉本喜代志


「バビロニア」が1971年、「カントリー」が1969年の録音。共に初めて聴いた。申し訳ないことをした。これほどのアルバムを40年近く知らないまま放置していたとは。杉本はフュージョンの人と無視していた自分が情けない。どちらも躍動的で古さを感じさせない出来だが、強いて選ぶなら植松孝夫のテナーが加わった「バビロニア」か。太い音色で豪快に迫る。たぶんこの先何度も聴くであろうアルバム。


復刻CDタイトル 3
Live At Cafe Montmartre 1966

アーティスト名

Don Cherry

1966年と言えば、私がジャズを聞き始めた年。コルトレーンやアーチー・シェップが燃えるような新作を連発していた時期だ。デンマークのコペンハーゲンに結集したアフロ・アメリカンにアルゼンチン人にイタリア人にドイツ人。みんな血気盛んな年齢。悪いはずがない。それにしても熱い!


 

 



 

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