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2010 私のお気に入り or Best 3 By ikeda

■ 新録CD

新録CDタイトル 1
渋夜旅/渋さ知らズ
レーベル
 
従来の「祝祭のようなライヴの魅力を前面に出した作品」とはひと味違い、静と動、静寂と轟音が美しいグラデーションを描いた作品。結成から20年以上という時を経ても、彼らは守りに入らず、「レコーディング・アーティストとしての新境地」を開拓した。「渋さ=フジ・ロックでガンガンに踊らせてくれるバンド」という、間違いではないがあまりに狭小な固定観念を持つ方にこそ聴いてほしい。もちろん、日本的な感性(チンドン音楽からの影響など)を前面に出した、タカ&トシでさえも「欧米か!」というツッコミを入れられないような渋さ独自の世界は健在だ。


新録CDタイトル 2
Reflexions/八木美知依&エリオット・シャープ
レーベル
 
録音は2005年だが、2010年にエリオット・シャープが来日したのを記念して、改めてリリースされた作品とのこと。この2人のインストア・ライヴを観たが、箏をギターやダルシマーやパーカッションのように使ってしまう八木と、8弦ギターベースで不可思議かつ有機的な空間を生むシャープの即興合戦は、壮絶なアグレッションとヒーリング効果の両方を併せ持つ世界だった。そうした魅力は、本作でもじっくりと堪能できる。「和楽器と音響系ギターの共演」という域を超えた、国際交流インプロの傑作。


新録CDタイトル 3
Obsidian/竹内直
レーベル
 
個人的には、2010年一番頻繁に聴いたアルバムかもしれない。元々バス・クラリネットの音は大好きなのだが、本作の情感豊かなトーンは実に素晴らしい。楽器の特性を活かして、竹内のリリカルな側面を押し出した作品と言えるだろう。しかも、ふくよかで「生命」を感じさせる竹内の息遣いに、御大・中牟礼貞則による快楽中枢をピンポイントで刺激するギターが絡むのだから、もはや反則。なお、本作には中牟礼と山下洋輔の共演という驚愕のトピックもあるが、主役の竹内が強力な存在感を発揮しているので、「超豪華なおまけ」だけに目を奪われるのではなく、まずはアルバム全体のダンディズムに満ちた美学を味わってほしい。

池田洋行

 

 

 

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