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CD REVIEW> Yusef Lateef
                 (Prestige & Riverside 編) (4.13.06)  >>back

 

1920年生まれだから今年で86歳。

1956年からサヴォイ、プレステッジ、インパルス、アトランテック等に
50枚ほどのリーダー作を残す。
現在も1992年に立ち上げた自己レーベルYALから新作を時折発表している。
テナーサックス、フルート、オーボエ、バンブーフルート・・・奏者であり、
作編曲者、教育者。
グラミー賞も獲得するなど西洋ではある程度の評価を得ているが、
我が国ではほとんど無視されている。アジア〜中近東的アプローチが、
日本的ジャズムード音楽に酔いしれる我が国の国民性に合わないのか?

もったいない!

とりあえず今回はOJCレーベルとして入手が可能なprestigeとriversideの全7枚をレビューします。

(ジャケットをクリックすると拡大されます。ブラウザの戻るで元画面にお戻りください)








 

The sounds of yusef

Other sounds

11曲全ては19571011日に同時に録音されたものだが、2枚に分割され時期を離して発売された。

先に発売されたThe sounds of、「A列車で行こう」で正攻法にスタートするも次の「おちゃめなフルート」で早くもラティーフ節全開。曲名もラティーフらしい「愛とユーモア」では、風船やセブンアップの空き瓶までもが楽器扱い。中近東フレーズ満載で怪しく盛り上げる。ハードバップ色の濃い「バッキンガム」を挟んで、コルトレーンのではなくラティーフのオリジナル、「瞑想」へ。ドラ、チャルメラ?そして深い余韻をたたえたテナー。

Other soundsも同様の構成だ。アーヴィング・バーリン作曲のスタンダード「オール・アロン」で幕が開き、映画音楽の巨匠アルフレッド・ニューマンの「アナスターシア」の奇想天外な解釈へと続く。ハードバップなオリジナル「マイナー・ムード」で一息ついて、カト茶でお馴染み、チョッとだけヨの「タブー」。まさにラティーフに打ってつけの選曲。独壇場、ヨッ音羽や。最後は摩訶不思議な「マハバ」。正体不明のスウイングヴォーカル?
聞けば聞くほど面白い。1枚で20〜30枚分楽しめる。




Cry!-Tender

プレステッジ2度目のセッションは2年後の1959年10月に録音された。マラカスに導かれていきなりオーボエでのスタート。トロピカルなカクテル=ハワイな雰囲気。南国風、でも東洋的な次のフルート演奏の曲へと続く。再びオーボエでしっとりと、途中でテナーに持ち替えて雄大なスケール、最後はオーボエのアルバムタイトル曲。続く「バターのブルース」はテナーによるまともなジャズ。拍子抜けする。三度オーボエに持ち替えてスタンダード「イエスタディーズ」。ラティーフはこうでなくっちゃ、などと思う。テナーによるジャズらしいジャズが3曲続く。オーボエによる3曲があるので少し変なアルバムに思えたが、それさえなければ実に正攻法なアルバム。

 



 

The three faces of

ここで困った問題が発生した、解説とプラケース裏に記載された録音年月日が全く違うのだ。方や1960年5月、方や1962年1月。たぶん前者だと思うのでこの位置に。
テナー3曲、フルート3曲、オーボエ2曲とタイトルどおり3本の楽器を配分したアルバム。ドボルザークの「家路」は冒頭のタンバリンの音も含めて新鮮に響いた。ロン・カーターのチェロも効いている。それにしても、ラストの曲のフェイドアウト、愛情ないな。

 



 

The centaur and the phoenix

60年の10月に録音されている。副題にthe big sound ofとあるように5人の管楽器と3リズムを従えた比較的大きな編成での録音、ピアニストはジョー・ザビヌル。そして10代のケニー・バロンがピアニストとしてデビューする前のデビュー・アレンジ作品でもある。意欲作である。だが、それほど面白くない。ラティーフの個性が生かされていないと思う。CD化に際し追加された8と9が輝いている。45回転のEPでのみ発売された音源で、編成も録音年月日も異なる。パーカッションやコーラス隊も加わったラテンタッチの曲。ラティーフの個性が際立つ。

このアルバムと The three faces of がリバーサイドでの録音。共に面白くない。レーベルオーナーでありプロデューサーでもあったオーリン・キープニューズはラティーフの魅力が半分も解っちゃいなかったのだと思う。東洋〜中近東の思想、哲学、音階・・を探求し、自分のものとして完全消化した彼を、3本の楽器を操る謎の怪人くらいにしか理解していなかったのだろう。2枚で終わるのワカル。



Eastern Sounds

クラブ系に大人気のアルバム。・・らしい。ナンだ・・この音は。冒頭、単弦の執拗なリズムパターンが現れる。rabatなる民族楽器らしい。ラティーフのフルートが重なる。いい感じだ。続いてオーボエによる東洋的ブルース。続いて5拍子の軽快な曲。スタンダードをテナーで歌い上げる曲と続き、いよいよ大人気の「スパルタカス愛のテーマ」へ。オーボエでストレートに映画主題歌を奏でただけの曲。・・・?。わからない。何故人気があるのか。ロリンズ張りにテナーを鳴らすsnafuはサックス奏者としてのラティーフの面目躍如。ミステリアスなムードの「紫の花」。もう一つの映画音楽「聖衣」愛のテーマはフルートで。最後はまたrabatが怪しく活躍する。アルバムとしては内容濃いです。





Into Something

18歳になる息子に捧げたブルースをオーボエで奏でる曲でスタート。ドラムがエルヴィンのせいもあるかも知れないがスタンダード「君、微笑めば」や、water pistol、koko’s tune、p boukはロリンズ風、しっとり歌い上げる「あなたは変わった」はコルトレーン風だ。しかし、この表現は間違い!ロリンズやコルトレーンがラティーフ風なのだ。だってラティーフの方が彼らより5〜10歳も年上、後にコルトレーンから逆影響を受けるようだが。大スタンダード「四月の思い出」はフルートで。てな具合に圧倒的にテナーの楽曲が多い。エルヴィンの好バッキングもあって最もジャズよりのアルバム。

   
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