M's Selection
普通のジャズだと反応が鈍い。
かれこれ40年ジャズを聞いてきた弊害か?
ま、昔から少し変わったジャズが好きだったからな。でも最近の耳にも体にも心地よすぎるジャズとは名ばかりのムード・ジャズは御免こうむりたい。一見ジャズの形態を装うてはいるが中身がない。それらは私を感動させないし覚醒もさせない。
喜怒哀楽のない名ばかりのジャズにつき合うほど私は暇ではない。新譜、再発は毎月多くの雑誌で採り上げられて本音と建前の評論とやらが溢れている。ジャズは新譜だからって斬新だとか、価値がある音楽ではない。
過去の作品の中にも聞かれるべき埋もれた作品は多数ある。

ここでは不定期ながら、日本のマスコミからは無視された、見てくれは普通だったり悪かったりだが聞くほどに愛情が増す、生々しい鼓動が聞こえるアルバムを選んでまな板の上に載せていこうと思います。
あくまで偏った私の趣味の範囲ですのでその辺はご勘弁を。

 

■ vol 012 BUY (06.29.2005)

リーダー名 : James White
メンバー :  Contortionsと名のってはいるが、The blacksと同一メンバー。  
タイトル: BUY 
録音年月日:  1978? 1979?

収録曲: 1. design to kill 2. my infatuation 3. I don’t want to be happy 4. anesthetic 5. contort yourself 6. throw me away 7. roving eye 8. twice removed 9. bedroom athlete CDには3曲のライヴ音源が追加。

REVIEW: 驚いた。ジェームス・チャンス(またの名をジェームス・ホワイト)が来日する。
それも25年前の2枚の傑作を録音したオリジナル・メンバーと共にだ。
即チケットはゲットした。そして、レコードを引っ張り出してきた。

久し振りに聞くその2枚のアルバム。
衝撃的な出会いから四半世紀の時を超えて今でも十分に猥褻で不良で暴力的だ。
アルバート・アイラーとセックス・ピストルズとアンデイ・ウォーホールとデニス・ホッパーとサム・ペキンパーがリングの上で殴り合っている。 このバンドの存在自体が事件だったしカッコよかった。
Off white をゲストが多数参加した遊びいっぱいのスタジオ・ワーク作品とするなら、バンドのメンバーのみで録音された BUY はライヴ感覚に溢れたノリのりの世界。
このラフな素人臭さが最大の魅力だ。

ライヴが楽しみ!

 

■ vol 011 Off White (06.29.2005)

リーダー名 : James White &The Blacks
メンバー :  James White(as), Pat Place(slide), Jody Harris(g), George Scott(b), Don Christensen(ds) guest  
タイトル: Off White 
録音年月日:  1978年 秋

収録曲: 1. contort yourself 2. stained sheets 3. (tropical)heat wave 4. almost black,pt.I 5. white savages 6. off black 7.white devil 8. bleached black CDには2曲の追加曲あり。

REVIEW: See vol 012

 

■ vol 010 Big Time (06.09.2005)

リーダー名 : Keshavan Maslak
メンバー :  Keshavan Maslak(as,ts) Misha Mengelberg(p) John Lindberg(b) Charles Moffett(ds) Ray Anderson(tb)  
タイトル: Big Time 
録音年月日:  1981年8月20日

収録曲: 1. mr.moffett 2. you’ll love it 3. 2300 skiddoo 4. big money cha,cha,cha 5. big time 6. big heart  7. you left your big shoe at my house

REVIEW: 90年代に入ってだろうか、彼は名前をKenny Millionと改名している。
いかにもロシア人ぽい名前がアメリカで生活するのに災いしたのだろうか。
それにしても成金アメリカ人って名前で笑ってしまう。

このアルバムが録音された翌年の82年にはI.C.P.オーケストラのメンバーとしてミシャ・メンゲルベルクやハン・ベニンク、ペーター・ブロッマンと共に来日している。 近藤等則の参加したその素晴らしいコンサートは私も目撃した。 嬉しい事に「ヤーパン、ヤーポン」としてDIWがレコード化している。 この頃がピークだったと今にして思う。改名してからは柔な仕事ばかりしているみたいだ。

オランダの誇るピアニストと、オーネットと共に傑作をものにした愛すべき黒人ドラマーの両ベテランが個性を散りばめる。 ベースにはニューヨークの俊英を配す。 ハービー・ニコルス作の3以外はオリジナルが占める。アルトはドルフィーを彷彿させる硬質な音色で、疾走する様は恍惚感さえ漂う。
テナーは豪快。 怒涛のオープニングからゲストにトロンボーンのレイ・アンダーソンが加わったラストまで息もつかせぬ大傑作。 これほどの作品を残しながらケシャヴァンは何を道草しているのだろう。

3年程前にオランダのチャレンジ・レーベルから3曲追加して
CD化された。 今でも手の入るのだろうか? 不覚にも買いそびれている。

見つけたら絶対買うべし。

 

■ vol 009 Out For A Walk (05.29.2005)

リーダー名 : Odean Pope
メンバー :  Odean Pope(ts) Gerald Veasley(eb) Cornell Rochester(ds) 
タイトル: Out For A Walk 
録音年月日:  1990年10月11日

収録曲: 1. the ponderer 2. Neapolitan minor 3. saxophone shop part2 4. out for a walk part2 5. zip part2 6.Spanish love theme 7. zip part3 8. limu 9. 9/4going4/4ways 10. Philly in three 11. the garden of happiness 12. zip part1

REVIEW: サックス・トリオをもう1枚。
58ページ、オディアン(今はオディーンと発音するのですか?)・ポープ。
82年の「オールモスト・ライク・ミー」が一番有名だろうけど、
行方知れずのため2作目のこれを。
メンバーは前作と同じヴィーズリーとロチェスタ。この二人、この当時ニューヨークの尖鋭派と思われていたが徐々に軟派路線移行してザビヌル・シンジケートに参加したりする。特にベースのヴィーズリーは今やフュージョン系の売れっ子ベースマンとなっている。

1曲目からガッーンとやられる。と言うか1曲目が特に強力。
突然風速50メートルの嵐のようなリズム・セクション。日本だと早川岳晴と本田珠也かな。これだけ強力に暴れられればいやが上にも暴走したくなるよサックスも。ゴリゴリとした野性的で粘着力のあるサックスだが、惜しいかなドンくさい。それが2曲目以降に顕著だ。それが結局人気を維持できなかった理由だと思う。 リズム・セクションを堪能すべきアルバムかな?
でも5曲目のベース・ソロは間延びしているし・・・なんか聞くにしたがってつまらなくなってきた。このアルバムは1曲目だけかも。

 

■ vol 008 The fourteen bar blues (05.13.2005)

リーダー名 : Bennie Wallace
メンバー :  Bennie Wallace(ts) Eddie Gomez(b) Eddie Moore(ds) 
タイトル: The fourteen bar blues 
録音年月日:  1978年1月23日

収録曲: 1. Chelsea Bridge 2. Trinkle Tinkle 3. Vicissitudes b 4. Broadside 5. The fourteen bar blues 6. Green &yellow 7. Yard’n newk 8. Flamingo


REVIEW: ひき続きサックス・トリオから。 ジャズ批評サックス・トリオ38ページ。
ヒョウキン顔のベニー・ウォレス。
ドラムがエルヴィン、ベースがホランドとくれば食指が動くのも当然。しかし企画先行の感が強い。
ジャケ同様音楽がニヤケテイル。私ならファースト・リーダー作のこれを第一に押したい。
エンヤのジャケツト史上1,2を争う強烈なインパクトを誇るこのレコード・カバー。
前後3曲の有名曲が5曲のオリジナルを挟む。有名曲も悪くは無いがこの男の作るオリジナルが素晴らしい。地の底を這うような重厚なサックス、アイラーを彷彿させるフレーズの
Vicissitudes
ゴメスのベースも躍動的で輝かしい。そして表題曲はドラムが抜けたデュオ作品。
曲というよりお互いの音に反応する即興の様相。
ハートに響く本当のフリー・インプロヴィゼイション。
最近は綺麗な女を配した軟弱ジャケツトで、日本の、ジャズとは名ばかりのムード音楽路線で金儲けしようとしているベニー。
本質は何も変わっていないと本人は言うだろうけど。本当にそうかな?

 

■ vol 007 Premonition (05.01.2005)

リーダー名 : Ellery Eskelin
メンバー :  Ellery Eskelin(ts)
タイトル: Premonition 
録音年月日:  1992年7月26日

収録曲: 1.premonition 2.song cycle 3.phantasmagoria 4.body and soul 5.off minor 6.besame mucho


REVIEW: エスケリンの4枚目のリーダー作。
無伴奏テナー・ソロである。 97年以降現在まで、スイスのレーベル
hat ology の専属になったようで既にそこから11枚のアルバムを発売している。 多くにアコーデオンとサンプラーを操るアンドレア・パーキンスが参加していて面白くない。 恋人なんでしょうか、この人。 ハン・ベニンクとのデュオ作 Dissonant Characters くらいかな良かったの。

だいたい、フリー・ミュージックは嫌いだ。 頭でっかちでこれ見よがしで、ライヴならまだしも、録音されたものなど聞きたくないね。 私はフリー・ジャズが好きなのだ。 喜怒哀楽のある音楽が。 格闘する音楽。 戦いの後の静寂、感動。そんなフリー・ジャズが。

前半3曲はエスケリンのオリジナル。 タイトルはついていますがおのれとの格闘の記録。 そして後半3曲はジャズとラテンの有名曲が並ぶ。 コブシの利いたどす黒いテナーが魅力的なメロディーを紡ぐ。
いやー聞きほれるな。

 

■ vol 006 Setting the Standard (04.24.2005)

リーダー名 : Ellery Eskelin
メンバー : Ellery Eskelin(ts) Drew Gress(b) Phil Haynes(ds)
タイトル: Setting the Standard 
録音年月日:  1988年2月7日

収録曲: A1. I’m getting sentimental over you  A2. Yesterdays  A3. Jitterbug waltz B1. Witchcraft  B2. I want to talk about you  B3. All the things you are  B4. East of the sun

REVIEW:ジャズ批評の5月号の特集は「サックス・トリオ決定盤」。
久し振りに興味深い企画である。早速購入しパラパラと流し読む。
流石、原田編集長。採り上げられたミュージシャンの質が高い。
でも林栄一、川端民生、古澤良治郎のトリオ「ホッパーズ・ダック」と、片山広明、早川岳晴、つの犬の「99」=「ドライ・シェリー」が抜けていたのは灯台下暗しですかね? ま、それには目をつむろう。 45ページにエラリー・エスケリンが採り上げられているのだから。同じメンバーで録音されたセカンド・リーダー作の「フォームズ」。彼のアルバムに駄作はない。これも良い。 しかし今回はこれを。 彼のデビュー・リーダー作である。ケイデンスというジャズのマイナーな硬派誌が経営するレーベルから発売されたものだ。残念ながらアナログのみの発売でCD化されていない。
デビュー・アルバムは緊張する。あれもこれも、やりたい事ばかり。当然オリジナルで勝負となるのが普通。でも全曲有名曲。投げやり?いやいや、サックス奏者としての自信の表れ。
隣の44ページ、武田和命がそうだった。 10余年前、ニッティング・ファクトリーで彼のライヴに接して以来の追っかけです。 でも、そのニッティングも消滅したんだよね。寂しい。
彼のことはまた書きます。

 

■ vol 005 The Dealer (03.31.2005)

リーダー名 : Chico Hamilton
メンバー : Arnie Lawrence(as) Ernie Hayes(org) Archie shepp(p) Larry Coryell(g) Richard Davis(b) Chico Hamilton(ds)
タイトル: The Dealer 
録音年月日: 1966年9月

収録曲: 1. The Dealer 2. For Mods Only 3. A Trip  
4. Baby, You Know  5.Larry OF Arabia  6. Thoughts  7. Jim-Jeannie

REVIEW: チコ・ハミルトンから始まった連載が5回目でまたチコに戻ってきた。
副題に
introducing Larry Coryell とあるように、前回の主役ラリー・コリエルが初めて世に紹介されたアルバムでもある。(実はこれにさきだつ64年、Chuck Mahaffay なる人物のボサノヴァ・アルバムに参加しているのだが)。  
62年録音の
Passin’Thru から数えてインパルス・レーベル最後の6作目。
遂にギターがザボでなくなった初のアルバム。それにしてもハミルトンは新人発掘の才能があるようだ。ドルフィー、ロイド、ザボ、そしてコリエルと個性的な面々を世に紹介した功績は大きい。  

録音された66年と云えばコルトレーンが来日した年である。
世にはフリー・ジャズが吹き荒れていた。コルトレーンと同じインパルスに在籍したチコのこのハッピーさ。当時前衛の闘士と思っていたアーチー・シェップが2曲目を提供しピアニストとして参加もしている。陽気なジャズ・ロックな曲で驚かされる。人間、杓子定規では計れないと納得。  
なお私の持っているCDはアナログと同じ7曲収録のもの。後に再発され現在手に入るものには4曲が追加されている。しかしギターはザボである。適当な編集と言わざるをえない。しかしインパルスと云いプレスティッジと云い、この一本スジの通っていない、いい加減さが魅力なのだ。

白も黒もなく、フリーもポップも同じ次元。プロデューサーのボブ・シールやドン・シュリッテンのアバウトさのおかげである。だから面白い。

 

■ vol 004 Barefoot Boy (03.23.2005)

リーダー名 : Larry Coryell
メンバー : Larry Coryell(g),Steve Marcus(ss,ts),Michael Mandel(p), Mervin Bronson(b),Roy Haynes(ds),Lawrence Killian(cga), Harry Wilkinson(per)
タイトル: Barefoot Boy 
録音年月日: 1971年?1972年?

収録曲: 1. Gypsy Queen 2. The Great Escape 3. Call To The Higher Consciousness

REVIEW: サンタナの大ヒット曲、「ジプシー・クイン」のオリジナルはガボール・ザボで、前回の「スペルバインダー」で初披露された。
実はこの曲にはもう一つの忘れられないカバーがある。
今回の主役
ラリー・コリエルが、インパルス・レーベルを辞したボブ・シールの設立したフライング・ダッチマン・レーベルに録音した、このアルバムである。 ジャズとロックの蜜月。

60年代後期彗星の如く現れたサックスのスティーヴ・マーカス。
傑作「トゥモロウ・ネヴァー・ノウズ」の衝撃は忘れられない。ビートルズやバーズの曲をエッジの効いたサックスでロックした。相棒のコリエルのギターがテンション高く波動した。徐々にスケールを減速していくマーカスだったが、リーダーをチェンジしたこのアルバム辺りには最後の閃きがある。

もう一つの聞きものはロイ・ヘインズのドラム。
この人パット・メセニーと共演したりしてまだ現役のバリバリ。もう70歳は過ぎているだろうに。
最後の巨匠ドラマー。昔からフットワーク、軽かったんだと納得。

 

■ vol 003 Spellbinder (03.17.2005)

リーダー名 : Gabor Szabo
メンバー : Gabor Szabo(g) Ron Carter(b) Chico Hamilton(ds)
Victor Pantoja, Willie Bobo(per)
タイトル: Spellbinder 
録音年月日: 1966年5月6日

収録曲: 1. spellbinder 2. witchcraft 3. it was a very good year 4. gypsy queen 5. bang bang 6. cheetah 7. my foolish heart 8. yearning 9. autumn leaves〜speak to me of love

REVIEW: ファースト・リーダー作の「ジプシー66」は、バークリー音楽院の同窓生だった渡辺貞夫やゲイリー・マクファーランドが参加したソフト路線の作品だった。
続いて制作された本作は、ソフトではあるものの打楽器奏者三人とベースとギターと云う編成もあってか、ラテン色の強調された灰汁の強い作品である。ラテン・ロックで名を馳せたサンタナのカルロス・サンタナが強く影響されたのも頷ける。
カッコいいパーカッションに導かれて登場するザボのギターに思わず耳をそばだてる「スペルバインダー」。後にサンタナのカバーで大ヒットする「ジプシー・クイン」。ソニーとシェールの大ヒット曲「バン・バン」では上手くはないが味のある歌も披露している。

なんて私は変態なんだろう。高校生時代、こんな軟弱アルバムとコルトレーンの「ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」を同時に愛聴していたのだ。
当時からクラブ・ジャズ系の感性をしていたのだろうか?

 

 

■ vol 002 Fiddler on the roof (03.05.2005)

リーダー名 : Cannonball Adderley
メンバー : Cannonball Adderley(as), Nat Adderley(tp), Charles Lloyd(ts,fl) Joe Zawinul(p),Sam Jones(b),Louis Hayes(ds)
タイトル: Fiddler on the roof 
録音年月日: 1964年9月8日、10月19日、21日

収録曲: 1. Fiddler on the roof 2. To life 3. Sabbath prayer 4. Chavalah 5. Ssewing machine 6. Now I have everything 7. Do you love me? 8. Matchmaker,Matchmaker 9. Sweet Georgia bright 10. Island blues 11. Little boy with the sad eyes 12. Goodbye charlie

REVIEW: 1963年にハミルトンのバンドを辞めたチャールス・ロイドは翌64年にはキャノンボール・アダレイのバンドに参加する。
2年足らずの在団期間に、64年5月録音の初のリーダー作 Discovery!65年の3月録音のof course of course、最後のCBS録音nirvana(編集盤)と3枚を制作している。逆にキャノンボールのサイドメンとしての吹き込みは、これと2枚のライヴ盤を数えるのみで意外に少ない。

キャノンボールのバンドの一員として吹き込まれたたった1枚のスタジオ録音作「屋根の上のバイオリン弾き」は、64年に初演された傑作ブロードウエイ・ミュージカルのいち早いジャズ化である。
初演の年に早くもそのミュージカルナンバー集が作られたと言う事だけでも、人気の度合いが計り知れる。
ただこれらの主題歌が彼らキャノンボール・グループに合っていたかどうかは疑問の残るところ。
ファンキー路線を標榜しつつ、ロイドのモーダルな感覚が巧みに加味されたこの編成には少し甘い選曲だったかもしれない。それが証拠にミュージカルとは関係ない後半4曲の魅力的なことよ。

ロイドは66年にはアトランティックと契約。キース・ジャレット、セシル・マクビー、ジャック・デ・ジョネットと云うバリバリ若手の黄金リズムセクションを従え「ドリーム・ウイーヴァー」「フォレスト・フラワー」と傑作をモノにし、我々団塊の世代を興奮のルツボへと叩き込む。その熱気への助走として聞くべきアルバムがこれである。

 

 

■ vol 001 Man from Two Worlds  (02.20.2005)

 

リーダー名 : Chico Hamilton
メンバー : Charles Lloyd(ts,fl),Gabor Szabo(g),Albert Stinson(b), Chico Hamilton(ds),George Bohanon(tb,8~11のみ)
タイトル: man from two worlds 
録音年月日: 1963年12月11日、1962年9月18日

収録曲: 1.man from two worlds 2.blues medley 3.forest flower 4.chil’ play 5.blues for O.T. 6.mallet dance 7.love song to a baby 8.passin’thru 9.transfusion 10.lady gabor 11.lonesome child

REVIEW: 最近、チコ・ハミルトンにはまっている。それなりに人気ありますよね、彼。ジム・ホールをフィチャーした「ブルー・サウンズ」や「イン・ハイ・ファイ」は何度もなんども手を変え品を変え再発売されていますから。ドキュメンタリー映画「真夏の夜のジャズ」での彼もカッコよかったな。
でも私がはまっているチコはそんな50年代の室内楽的なアルバムではないのです。
チャールス・ロイドやガボール・ザボやラリー・コリエルの在籍した60年代のアルバムです。
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さてこのアルバム、ロイドとザボがメンバーになって5枚目(後年発売された
transfusionを除くと4枚目)の作品。そしてそれまで加わっていたトロンボーンのジョージ・ボハノンが抜けてサックス、ギター、ベース、ドラムのカルテット編成になった唯一のアルバム。この後キャノンボール・アダレイに引き抜かれてグループを去るロイドが完全に音楽監督です。
全曲ロイドの作品が占めていて、あの超超チョウ名盤「フォレスト・フラワー」の初演もこれでやっています。フォーク・ギターに電気を通したザボ独特のエキゾチックな音色に導かれて幕が開きます。
はて?ここは何処?いい感じです。ロイドのモーダルなテナーが益々異国情緒を煽ります。
屈折していてなんか変なのに、軽やか。聞くたびに新しい発見あり。
なお、後半4曲は62年録音の
passin’thruからの音源。トロンボーンが加わったクインテット編成です。

そしてここからハミルトン、ロイド、ザボ、コリエルの諸作へと探求の旅は続きます。しばらくはこの人脈のアルバムから選ぶことにします。
ジャズって楽しいです、深いです。百花繚乱です。
 

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