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REVIEW

M’s Selection vol.1

普通のジャズだと反応が鈍い。
かれこれ40年ジャズを聞いてきた弊害か?
ま、昔から少し変わったジャズが好きだったからな。でも最近の耳にも体にも心地よすぎるジャズとは名ばかりのムード・ジャズは御免こうむりたい。一見ジャズの形態を装うてはいるが中身がない。それらは私を感動させないし覚醒もさせない。
喜怒哀楽のない名ばかりのジャズにつき合うほど私は暇ではない。新譜、再発は毎月多くの雑誌で採り上げられて本音と建前の評論とやらが溢れている。ジャズは新譜だからって斬新だとか、価値がある音楽ではない。
過去の作品の中にも聞かれるべき埋もれた作品は多数ある。

ここでは不定期ながら、日本のマスコミからは無視された、見てくれは普通だったり悪かったりだが聞くほどに愛情が増す、生々しい鼓動が聞こえるアルバムを選んでまな板の上に載せていこうと思います。
あくまで偏った私の趣味の範囲ですのでその辺はご勘弁を。

vol 001 Man from Two Worlds(02.20.2005)

リーダー名 : Chico Hamilton
メンバー : Charles Lloyd(ts,fl),Gabor Szabo(g),Albert Stinson(b), Chico Hamilton(ds),George Bohanon(tb,8~11のみ)
タイトル: man from two worlds 
録音年月日: 1963年12月11日、1962年9月18日
収録曲: 1.man from two worlds 2.blues medley 3.forest flower 4.chil’ play 5.blues for O.T. 6.mallet dance 7.love song to a baby 8.passin’thru 9.transfusion 10.lady gabor 11.lonesome child

REVIEW: 最近、チコ・ハミルトンにはまっている。それなりに人気ありますよね、彼。ジム・ホールをフィチャーした「ブルー・サウンズ」や「イン・ハイ・ファイ」は何度もなんども手を変え品を変え再発売されていますから。ドキュメンタリー映画「真夏の夜のジャズ」での彼もカッコよかったな。
でも私がはまっているチコはそんな50年代の室内楽的なアルバムではないのです。
チャールス・ロイドやガボール・ザボやラリー・コリエルの在籍した60年代のアルバムです。
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さてこのアルバム、ロイドとザボがメンバーになって5枚目(後年発売されたtransfusionを除くと4枚目)の作品。そしてそれまで加わっていたトロンボーンのジョージ・ボハノンが抜けてサックス、ギター、ベース、ドラムのカルテット編成になった唯一のアルバム。この後キャノンボール・アダレイに引き抜かれてグループを去るロイドが完全に音楽監督です。
全曲ロイドの作品が占めていて、あの超超チョウ名盤「フォレスト・フラワー」の初演もこれでやっています。フォーク・ギターに電気を通したザボ独特のエキゾチックな音色に導かれて幕が開きます。
はて?ここは何処?いい感じです。ロイドのモーダルなテナーが益々異国情緒を煽ります。
屈折していてなんか変なのに、軽やか。聞くたびに新しい発見あり。
なお、後半4曲は62年録音のpassin’thruからの音源。トロンボーンが加わったクインテット編成です。
そしてここからハミルトン、ロイド、ザボ、コリエルの諸作へと探求の旅は続きます。しばらくはこの人脈のアルバムから選ぶことにします。
ジャズって楽しいです、深いです。百花繚乱です。
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