2023年 私のお気に入り or Best
各レビュアーへの目次
Ozaki Murakami Sato hirose takeda
takeda
Ozaki
John Scofield “Uncle John’s Band”
(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501702166.html ) John Scofieldの真骨頂という演奏目白押しで、2枚組てんこ盛りですが、2枚まるまる大満足でありました。
ラージアンサンブル
Darcy James Argue “Dynamic Maximum Tension” https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501109665.html ) 挾間美帆 “Beyond Orbits” (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501182905.html ) 今年9月頃に聴いたラージアンサンブルがすこぶる琴線に触れる良い作品だったので、両方とも今年のベスト3に入れます。 いずれも、これまでのラージアンサンブルのサウンドから進化していることが感じられ、そのサウンドが個人的琴線に見事にはまりました。
特別賞
林正樹 “Blur The Border” (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/498740760.html ) 須川崇志 Banksia Trio “Masks” (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499737558.html ) 特別賞というか次点的扱いになるんですが、林正樹、須川崇志の両名が絡んだ作品2つを挙げます。 いずれもスルメ的魅力(聴けば聴くほど味わい深くなってくる)に溢れた作品に仕上がっています。
Murakami
1.John Zorn Feat. Brian Marsella, Julian Lage, Jorge Roeder & Ches Smith Full Fathom Five
アルバム・タイトルFull Fathom Fiveは「五尋の深み」と訳すらしい。何しろシェークスピアですから、「テンペスト」ですから。 ジョン・ゾーンが作曲、プロデュース・・・。演奏には参加していない。 Julian Lage、Brian Marsella 、Jorge Roeder、Ches Smithからなるギター、ピアノのカルテット編成。2023年にこの編成でゾーンのレーベルTZADIKから3枚も発売している。 しかし、このレーベルの作品はディスク・ユニオンを通してしか入手出来ない、あるいは情報すら拡散しないようで、入手が非常に難しいようだ。 さて、音楽。静謐、緻密、躍動的。当然ジュリアンの煌めくギターは益々冴えわたる。4人ともNYのトップをひた走る。特にピアノのブライアンは追っかけたいと思った。
2.Daniel Villarreal Feat. Jeff Parker & Anna Butterss Lados B
ダニエル・ビジャレアルと読むと書いてあった。パナマ(あの運河の)出身のドラマー、リーダー作。だが私はジェフ・パーカーのクレジットで買った。 ジュリアン・ラージと並んで今一番気になるギタリスト。この人、技巧をひけらかすタイプではない。指が早く動くとか、華麗なサウンドとか。無縁だな。でも、心に沁みるし説得力が凄い。下手ウマの極致かも。
再発からの2枚
ちあきなおみ 「ルージュ」、「あまぐも」
1977年と1978年に発売されたコロムビア・レコード在籍時最後期の二枚。 2000年に紙ジャケCD化されたが、ディスク・ユニオンの中古盤価格はそれぞれ3850円と7850円。何度かポチリそうになったが、待って良かった。昨年6月にタワーレコード限定で再発されていた。中島みゆき、河島英五、そして友川かずき、と異色の作家の作品集。特に紅白で爆発した「夜へ急ぐ人」には揺さぶられる。この2枚を発売した後78年の4月に、郷鍈治と結婚。3年ほど結婚休暇を楽しむ。 タワー情報を教えてくれた工藤さん、ありがとう。
Sato
1.DANIEL HERSOG JAZZ ORCHESTRA 「OPEN SPACES / FOLK SONGS REIMAGINED」
カナダ出身のジャズトランぺッターがリーダーのジャズオーケストラ。 素朴なビックンバンドサウンドに放たれるカート・ローゼンウィンケルのギターが気持ち良い。
2.RYAN KEBERLE’S COLLECTIV DO BRASIL 「CONSIDERANDO」
マリア・シュナイダー・オーケストラのトローンボーン奏者とブラジルのピアノトリオの共演。トローンボーンのスムースな音色とブラジル曲が心地よい。
3.STEVE LEHMAN ORCHESTRE NATIONAL DE JAZZ 「EX MACHINA]
ラージアンサンブルにAIを取り込んだ挑戦的な演奏。リズム・サウンド・ソロの取り方など、新しこと、すごいことが起こっているのを感じる。
hirose
1.Fred Hersch & Esperanza Spalding “Alive at the Vanguard”
Fred のNY における定例のGIGはVanguardでのTrio主体の公演と、今は無いJazz StandardでのDUOシリーズである。コロナ前は特に若手スターのゲストが多くJulian Lage,Ambrose Akinmusire,Miguel Zenon,Avishai Cohen(tp),妹のAnatCohenなど、Esperanzaもその一人、稀有な顔合わせにファンは異種格闘技的、興奮を刻んだ。因みに2007年9月の第2週、Piano Duo Invitation Seriesはすごいゲストであった。火曜日から、日曜日まで、Ethan Iverson,Brad Mehldau,Kenny Barron,Jason Moran,Jeff Keezer,Art Landeという毎晩の強者との対話。 Fredの音楽世界は広大であり、教育者としての名伯楽ぶりは知られているが、彼の来し方、困難な苦しみを乗り越えたピアノにNY のギャング仲間、Nathan Allman(故人)が話した、“Fred は偉大な男だよ”との言葉を噛みしめる毎日である。(2024年Grammy賞、Jazzで2部門で17回目のnominate作品。)
2.Sullivan Fortner “ Solo.Games”
2015年、American Piano Award,Cole Porter賞、受賞者。Fred Herschのプロデュース作品。2009年、SullivanがFred とJason Moranが指導するマスタークラスの生徒で良い評価を得てFredの生徒、メンティーとなった。(Jasonも同じく指導).今、評価の高い、Emmet Cohen,Jeff Keezerが“新しいソロピアノのページを開いた。”と絶賛をする傑作である。
3.Steve Lehman / Orchestra National De Jazz “Ex Machina”
恐らくAIを使用した初めてのJazz Album.Steve Lehmanと作曲家Frederic Maurin の共作で、人とソフトウェアによるインプロビゼーションがフィーチャーされる。この機能は人間のアドリブに反応し、一種のセカンドボイス的働きをする。人間 対 AIではなく、より深みのあるハーモニー、痙攣的リズムなど新しいビッグバンドの方向性を示唆する興味深い作品である。
(番外)板橋文夫 “渡良瀬”
2022年10月、コロナのため中断していた横浜ジャズプロムナードが再開した。フェスティバルの最後、大トリを取ったのは、板橋文夫オーケストラ、彼の“渡 良瀬やります。”との発声で、関内ホールに金子友紀さんの透明感ある美声が響きわたり、林栄一、纐纈雅代、類家心平など重厚なアンサンブルが拍車をかける。観客全員が叫び、涙した瞬間であった。やっぱり自分は日本人、五音階、“和ジャズ”、“和魂ジャズ”のStandard,渡良瀬。また、あの感動に浸りたい。
takeda
1.Cat Power – Cat Power Sings Dylan: The 1966 Royal Albert Hall Concert
アメリカ出身の女性シンガー・ソングライターがロンドン「ロイヤル・アルバート・ホール」で収録した2枚組ライブ・アルバム。ロック史上有名な1966年のディランのライブを完全再現している。実際ディランのライブはマンチェスターにあるフリー・トレード・センターで録音されたもの。 前半アコースティック、後半エレクトリック・バンドを従えての彼女のパフォーマンスは素晴らしいものでした。 ・
2.David Crosby&The Lighthouse Band:Live At The Capitol Theatre
ベッカ・スティーブンス、ミシェル・ウィリス、マイケル・リーグからなるThe Lighthouse Bandとのライヴアルバム。クロスビーのソロというよりバンドとしての充実した演奏を聴くことができる。近年旺盛な活動していた印象のクロスビーでしたが残念ながら2023年1月 亡くなりました。2022年暮のリリース。
3.John Scofield-Uncle John’s Band
アルバム・タイトル曲は私がグレイトフル・デッドの中で一番好きな曲。ボブ・ディランやニール・ヤングの曲を取り上げたのも気を引きました。 ジャズでは旧譜になりますがKenny WheelerのECM第一作Gnu HighよりSmatterを 愛聴しました。 あと2023年リリースでよく聴いたのは The Rolling Stones-Hackney Diamonds Lucinda Williams-Stories From A Rock N Roll Heart