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REVIEW

2019年 私のお気に入り or Best

今回のBEST3参加者6名。新譜を聴くことに興味がある人減ってきました。大好きなミュージシャンを大切にして、深く聴きこむ。そんな聴き方の人の方が多いのでしょうね。それも大切な聴き方だし。数は減っても続けますよBEST3。

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各レビュアーへの目次

Murakami  Hirose  Sakima  Takeda  Sato  Ozaki

Murakami

Leonard Cohen  Thanks for the Dance

2016年11月の死去から3年、思いもよらないコーエンの新作が発売された。内容もアウトテイク等をまとめたものではなく、新曲が並ぶまさにニューアルバム。
ギター、ベース、ヴァイブ・・シンプルな演奏にジェニファー・ウォーンズの楚々としたバックコーラスが寄り添う表題曲が素晴らしい。
「踊ってくれてありがとう、苦しかった、素晴らしかった、楽しかった、たくさん踊ってくれてありがとう、ワン・トゥ・スリー、ワン・トゥ・スリー、ワン」訳:三浦久

松丸契 Thinkkaism

2019年耳をそばだてる新人が登場した。パプアニューギニア、バークリー等々は置いといて彼の音に対する斬新さやアプローチに私は度肝を抜かれた。
全10曲中自身のオリジナルは3曲。その3,7,8が特に聞き物。彼の独特のタイム感が不思議な風景を描く。


小田切一巳 突撃神風特攻隊

をはじめとするアナログでしか発売されていなかった初期アケタズ・ディスクの初CD化。万歳!

Hirose

1、FRED HERSCH&The WDR BIG BAND ”BEGIN AGAIN”
Arraged and Conducted by VINCE MENDOZA

今年の62回グラミー賞、composing&arranging部門、Best Instrumental Compositionのノミネート作品。
Fred として15回目のノミネート。初めてのBIG BAND作品である。JAZZではソロ、デュオ、トリオ、プラス2管入り、ラージアンサンブル(弦入り2声10ピース)、またCLASSICSではソロ、デュオ、トリオ、クァルテット、オーケストラとの共演など幅広く活躍してきた。Vince Mendozaのアレンジが素晴らしくWDRメンバーのソリも光る。Fred Herschのピアノコンチェルト的作品で、Miles Davis,Gil EvansのMilesAhead、Scketch of Spain的フレイバーを醸す。

2、MIKE HOLOBER、THE GOTHAM JAZZ ORCHESTRA ”HIDING OUT”

62回グラミー賞Best Jazz Large Ensembleノミネート作品。MikeはNY The City Collegeの教授で、Manhattan School of Musicでも作曲とアレンジを担当する教育者としても有名。彼の主宰するThe Gotham Jazz Orc.は録音が96年からで活動期間は20年以上と長く、VJO(Vanguard Jazz Orc.)WBOなど著名Big Bandとの共演も多い。彼のコンボ活動としてはTpの名手Marvin StammとのNY近辺での演奏が多い。
本作品は2枚組と大作、2組曲とTom Jobinほかの曲で構成される。NYのTop Musicianの咆哮、精緻を極めた透明感と、新世界に挑戦するMikeの魔術は時を忘れさせ、大きな感動を与える名作である。

3、ELIANE ELIAS ”LOVE STORIES”

アメリカの老舗Jazz MagazineのDOWN BEAT誌 の2019年5星評価(6枚)の1枚。Jazz Standard,Brazilian Classic,OriginalがRob Mathesのアレンジによるオーケストラ、そしてエリアーヌの声とピアノ、ベースのMark Johnson以外すべてブラジル人のリズム隊により気怠くレイドバックした音楽世界を構築する。
人生の辛さ、甘さを体験し、円熟期に差し掛かるエリアーヌのボサノバ音楽は大人の愛を賛歌する。人生に疲れたら、このアルバムが良薬となるであろう。

Sakima

The Raconteurs/Help Us Stranger
Third Man TMR 600

ストリーミングで耳にしたどこかノスタルジックなギターの響きとバンド・スタイルが気に入り、珍しくアナログ盤新譜を購入、勿論通販デス。歌詞カードに元「ホワイト・ストライプス」のジャック・ホワイトの名を見っけて納得の1枚。

Santana/Africa Speaks
Concord UCCO-1207

伝説のウッドストックから丁度半世紀のサンタナ(当時22歳!)。マヨルカ島出身のスペイン人シンガー、ブイカの存在感溢れるヴォーカルを全面に起用、多彩なメンバーによるアフリカンなメロディ、そしてポリリズム。リック・ルービンをプロデューサーに迎えてアフロ-ラテン-ファンク全開の新境地。

岩谷時子/初期作品集
コロムビアレコード COCP-40785

小学生の頃、 白黒TVでよく紹介されていた流行歌。曲名と共にクレジットされた作詞「岩谷時子」の名前を画面で初めて目にしたのは”月影のナポリ”かはたまた”恋のバカンス”か? やがて作曲・弾厚作との名コンビによる数々の作品で忘れることのできない人になりました。1953年~1961年までのレアな初期作品集。

Takeda

Gaby Moreno & Van Dyke Parks/!SPANGLED!

グアテマラ出身でアメリカ在住のシンガー・ソングライターのギャビー・モレノが奇才プロデューサー、アレンジャーのヴァンダイク・パークスと組んだアルバムでレーベルは信頼のNonesuch 。先行配信されたジャクソン・ブラウン、ライ・クーダーが参加した「Across The Borderlin」にまず心惹かれました。ヴァンダイク・パークスによる流麗なストリングス・アレンジにのせた中南米の名曲「ある恋の物語」やボサノヴァの「O, Cantador」などのギャビーのヴォーカルが良いです。

Come On Up To the House: Women Sing Waits / Various Artists

女性シンガーによるトム・ウェイツのトリビュート・アルバム。トム・ウェイツ本人の歌唱だと正直きつく感じる曲もあるのですが、このアルバムでの女性ヴォーカルのカヴァーを聴くと楽曲の良さが際立ち、心にしみました。
個人的ベストはシェルビー・リン&アリソン・ムーラー姉妹によるイーグルスでお
なじみ「オール55」。


Bruce Springsteen / Western Stars

5年ぶりのスタジオ録音盤。グレン・キャンベルを連想させるポップ・カントリー風のサウンドですが、そのへんが好きな私には全く問題なし。今作も卓越した曲作りと円熟したヴォーカルを楽しませていただきました。
スプリングスティーン関連ではLive.BruceSpringsteen.net でダウンロードした蔵出しライブ音源「1978/09/19 Passaic, NJ」でも大いに盛り上りました。

Sato

「Begin Again」Fred Hersch & WDR Big Band

フレッド・ハーシュとWDR(西ドイツ  放送)Big Bandとの共演作。アレンジャー兼コンダクターのヴィンス・メンドサーのアレンジが素晴らしい。フレッドが曲に込めたであろう生きることの切なさやいちずな想いなどが、アレンジによりダイレクトに分かり易く伝わってくる。

「THE SECRET BETWEEN THE SHADOW AND THE SOUL」 Branford Marsalis Quartet

1曲目はハードなガツンとくる演奏だが、その後は1曲ごとに趣の異なる曲が続き、一回りして1曲目を聴くと、良い塩梅と感じるアルバム。
6曲目の母にささげた「Life Filtering From The Water Flowers」のソロが素晴らしい。 この1曲で、聴いて良かったアルバムです。

「JATROIT Live at BLUE NOTE TOKYO」大西順子TRIO

2019年2月ブルーノート東京でのライブ録音。2曲目のMeditation For A Pair Of Wire Cutters」途中からZONEに入った感じで、集中力の高い演奏が繰り広げられる。3曲目の広瀬未来さん作曲のMorning Haze(朝もや)は、静かな曲だがイメージ・想いが伝わってくる。ハードな演奏はもちろん良いが、いろんな苦労や喜びを経て、演奏者としての成熟を強く感じる。

Ozaki

例年通り、悩むとキリがないので、自blogをざっと眺めて気になった盤をいくつか斜め聴きした範疇で選んでいます。例年の通り順番をつけないで3枚と、特別賞を1枚挙げます。

特別賞 大西順子 “Presents Jatroit Live At Blue Note Tokyo”

http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/470542776.html
ここのところ活発な活動をしている大西の新作。往時に引けを取らないアグレッシブでパワフルな演奏を楽しめる。

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